泉ゆうきのブログ

40歳も後半になり、おそらく人生の半分が過ぎたことでしょう。今まで、何も取り柄の無い只のサラリーマンとして過ごしてきた為、会社を定年退職する迄の目標として、行政書士の資格取得を目指したいと思っています。でも、その前に力試しで宅建士の資格を取得したいと考えております。ちなみに2017年、2018年、2019年、2020年と4度受験して惨敗しています。宅建士の試験に合格しないと次の目標に進めないので2021年こそは合格したいです。そのような理由から資格試験合格までのリアルストーリーを中心に、日常の出来事と合わ

電話営業(第2話)

出社時間は、朝7時30分

営業マンは毎朝机に座って日経新聞を読むところからスタートする。

 

新聞は1人1冊、決まって会社から配られている。

 

日経新聞どころか、そもそも新聞など読んだことのない僕にとって、どこをどう読めばいいのか、またどこで改行して読めば良いのか、始めのうちは記事の意味どころか読み方さえも解らない状態だった。


徐々に新聞に慣れてくるにつれ、最初に読む場所は商品先物相場の価格であり、前日の値動きのチェック、それから商品銘柄(金とか大豆など)の動向に関する記事、社会面、スポーツなどへと続いていく。

 

朝から一生懸命新聞を読む理由は一つだ。

 

それは、社会人としての教養を養う為でもなく、一般常識を得る為でもない。

全てはそう 

 

”テレコール”の為

 

名簿を見て、電話をかけ、受話器の向こうにいる知らない相手に対して、少しでも興味を引く話題と金融マンとしての知識をひけらかす為のみに、朝から日経新聞を読んでいるのである。

そして、悲しくも受話器の向こう側の知らない人に対して、いかにも経済を知っているように話しているが、話している本人の知識は”ただのハリボテの知識”でしかない。

 

それが、通称「ショウトリ(商取:商品取引士)」と呼ばれる、口先でけで無いものを売る営業マンのやり方である。

 

受話器の向こう側の相手と挨拶を交わしながら、その者の卒業校に関するネタを交えつつ、徐々に会話を誘導していく。

 

会話の流れはこうだ。

 

僕 : ところで〇〇さん、トウモロコシって良く食べます?
相手: えっ! 食べますよ。それがどうしたんですか?
僕 : 実は、ミシシッピー川(米国)が大洪水に見舞われた(1993年)年に、〇〇さんの先輩にあたられる××大学の卒業生の方が、当社を通して偶然トウモロコシを購入されていたんです。当時洪水の影響でトウモロコシの価格が暴騰しものですから、トウモロコシを売却された際に多額の利益を出されましてですね。
相手: えっ?そんなことがあるんですか?

といった具合で、天候不良などなどにより、商品の価格が暴騰した際に多額の利益を出すことできる話しを教えてあげる。

電話終わった後に、興味があれば資料の発送なども行うようにする。

 

このような営業スタイルは、「下駄預け」と言って「お客様先にお邪魔した際に、次の訪問のネタとしてワザと自分の下駄をお客さんのところに置いてくる」というやり方から生まれた言葉のようである。

 

そして、翌々日に狩りが行われる。

預けた下駄を返してもらうために。

 

営業は〝班″を構成しており、1名の班長と数名(2~4名程度)の班員で組織されていた。

班員がテレコールして捕まえた客は「B顧客」と名付けられ、B顧客の情報記入用紙に「自身が感じた顧客の印象や電話のやり取り」を記入して班長に渡す。
B顧客へは資料も送られた。

 

そして、テレコールから2日後、資料が届いて読み始めたかな?とうタイミングで「プッシュ」という名の狩りが開始されるのだ。

 

班員の記入した「B顧客情報記入用紙」を握りしめて、班長は自身の机の下に潜り、テレコールした班員の名を語り、その相手に電話をかける。

 

そして、相手が電話に出たら早々にこのように告げる

 

班長:〇〇さん、先日お電話させて頂きました△△商事の泉です。
相手:あーっ、この間はどうも。(この時点で別人と気づいていない)
班長:実はですね。先日お話させていただいた”トウモロコシ”が大変なことになってるんです。今日の日経新聞にも出ているのですが(商品の動向に関する些細な記事は実際にしょっちゅう載っているのが、小さな記事の内容を大きく話して興味を引き付け、記事がなければ、数日前の価格変動のネタを盛り込みプッシュは行われる。)アメリカがトウモロコシの生産量の調整(減)を行うことになりまして、日本でも複数の商社がトウモロコシの大量購入に動き恥じたんです。その中で今回当社も一定数を抑えることができたので、是非その一部を〇〇さんにも分けさせて頂きたいと思い、急いでお電話しました。

 

という具合に、衝動買いを誘うように息を荒立て電話をして勧誘する。

 

そしてその時、顧客からは信じられない言葉が出てくる。

 

つづく

 

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