父が知りたくない息子の心の声。
土曜日
普段なら息子のチビ太は保育園、嫁は仕事に出かけており、私は家の掃除と試験勉強をしている。
しかし、今日は朝から親子三人で福岡空港へ向かいました。
遡ること数ヶ月。
トミカ(ミニカー)が大好きだったチビ太は、どんな心境の変化か、飛行機に興味を持つようになりました。
"飛行機を見にいきたい!"
"飛行機が飛んでる!"
"あの飛行機はえーえぬえー!"
と飛行機好きアピールをするようになりました。
そして、嫁は息子が喜ばせるため航空自衛隊のイベントに申し込んだところ見事当選!
そのような理由から、嫁の送迎で朝からバタバタと福岡空港に向かい、息子のチビ太と二人で航空自衛隊のイベントに参加しました。
嫁とチビ太で参加しても良かったのですが、おそらく、息子の相手に疲れるため、何気なくイベントの付き添いを私に振ってきたのだと思います。
しかし、40歳を過ぎて授かった息子は可愛いく、私的には喜んでこのイベントに参加しました。
むしろ、ここで父親をアピールして、普段ママっ子のチビ太をパパっ子に変えるくらいの意気込みでイベントに挑みました。
バスで福岡空港内の航空自衛隊の基地まで送迎され、その中で普段はロビーとして使用されているであろうスペースにプロジェクターが設けられており、イベントの説明が行われた後に、「航空自衛隊とは?」どのような活動をしているのか、プロジェクターに映像が映し出されました。
おそらく30分程の説明だったと思います。
航空自衛隊の階級とは?
活動内容とは?
航空自衛隊の組織図とは?
どれも4歳のチビ太には退屈な内容でしかなく、開始五分でチビ太からクレームの声が…
"とーちゃん。チビ太今までの中で一番あきちゃった。"
いったい何と比べて一番あきたのだろうか?
最近はどこで覚えてきたのか、いつの間に使える日本語が増えている。
"いつになったら飛行機乗れると?"
と問うチビ太に。
"もう少しだから頑張って!"
と励ます父.。
しかし、既にその声はチビ太に届かない…
椅子に寝転び、こっちを見ては終始不満顔で父を睨んでくる。
ようやく説明が終わり、体験コーナーへ移動することに。
そこには、普段一般人では乗れないトラックや消防車が置かれていました。
消防車の運転席やトラックの運転席に座り、今までの不満顔が笑顔に変わるチビ太を見て、父親の私も嬉しくなる。
そして、メインの航空機コーナーでは、ヘルメットを着用できたり、もちろん本物の航空機のコクピットに座れたりと、チビ太は大満足です。
最後は航空機に給油を行うところを見せてくれる模擬給油の実演があり、航空機が飛んでいる設定で、本物のエンジン音が辺り一面に鳴り渡りました。
轟音の中、チビ太を見て父から何気ない親子の会話をする。
"チビ太面白いやろ!"
チビ太が応えてる。
"うん。"
轟音の中、私の方に振り向いて大きな声でチビ太が応える。
そして、再び航空機を見てチビ太が独り言をつぶやいた。
”でもママとやったらもっと面白かったのに・・・。”
それは、轟音の中でもしっかりと私の耳に聞こえてきた。
父は心の中で思った。
「チビ太くん。それは思ってても言わなくていい一言だよ…」
しかも、聞こえてるし・・・。