我が家の悲惨な一日
それは朝から天気の良い、平穏な土曜日のことでした。
その日は、子供を連れて会社の同僚と朝から海釣り公園に向かいました。
同僚の子供と息子のチビ太は同じ年のため、会って直ぐに打解け海釣り公園に向かう車の中は賑やかを通り越し五月蠅いの一言です。
貴重な土曜日と言うこともあり、本当は私の嫁も一人車で美容院や買い物に行きたかったようですが、息子が釣りに乗り気なため、流石に嫁も嫌とは言えず、しぶしぶ了承をしたものの、嫁の父親が生前漁師だったことから、釣りや魚には多少なりとも知識があるため “今の時期に行っても釣れんよ!”とぼやきながら見送ってくれました。
そんな、何気ない土曜日でしたが、これがあの悪夢のような出来事の序章だとは、この時の私は思いもしませんでした・・・。
海釣り公園に着くと、早速子供達が『早く釣りしたい!』とムダに叫び始めました。
仕掛けは『さびき』
エビを詰め込み海に投げ、そしてその竿を子供達に渡します。
わずか1~2分後には、『魚まだ釣れないよ~!』と無邪気な叫び声が聞こえ始めたので、『魚釣りはガマンとの戦いだ!』といくら親が言い聞かせても、全く聞く耳を持たない子供達。
開始から30分が経過するころには、『もう帰りたーぃ!』と叫びだす始末。
一人が叫べばもう一人も叫びだし、見事なまでの帰りたい相乗効果が生まれていました。
もう、釣りに興味が無くなった子供達は二人で何やら遊び始め、親達も結局何の収穫もないまま家路に向かう結果となりました。
同僚とその子供と別れ、家に到着したのは14時くらいだったでしょうか。
嫁が子供に『お腹空いた?』と訪ねると。
『お腹空いた~』と返す息子のチビ太。
そして、嫁がチビ太にスパゲティを作ってあげると、息子のチビ太が突然『やっぱりいらない。』と言い出した。
実は、チビ太には聞かれると勢いで返事をしてしまう悪い癖があるようで、、、
私も自らに飛び火しないよう沈黙を貫きましたが、実は海釣り公園の帰りの道中、チビ太にお菓子を買って食べさせていたのでした。
もちろん嫁には今更言えません。
何故だかチビ太は嫁と買い物に行くときは、必ずと言って良いほど、お菓子を一つしか買わないのですが、私とコンビニに入ると3つくらいお菓子を抱えてやってきます。
“ちょっと待て!お前ママと買い物行くときは、いつも1個しか買わないのに、なんでとーちゃんの時は3つも持ってくるの?”
と問うと。
“だってママの時は1個しか買ってくれんもん!”
と怒り出すチビ太・・・
“とーちゃんだって1個しか買わんし・・・”
“とーちゃんチビ太のこと好きやろ!だから買って!”
と、いつも息子に言い負かされてお菓子を買ってしまう私。
今回もそうでした。
だから、私は薄々気がついていました。
そんな理由から、本当はチビ太はお腹が空いていないことを・・・。
折角作ったスパゲティを食べないチビ太に怒りだす嫁。
罪悪感から何も言わずに、そのスパゲティを食べる私。
そして、その日の夕方私達家族はイオンに向かいました。
本当は朝からイオンに行きたがっていた嫁。
ようやく自分の希望が叶ったようで、嫁はイオンの中では終始ご機嫌でした。
イオンでの目的は3つあり
1つ目は、私が積み立て型の保険に入る事。
2つ目は、3000円商品券(11月30日(当日)迄有効)を使って買い物する事。
3つ目は、イオンで夕食を食べて帰る事。
最初に行ったのは、保険の代理店です。
以前から嫁が目をつけていた外貨積立型保険がとても利回りが良く、定年迄に入っておけば1割は増えるであろうという内容の保険でした。
過去のブログでも書かせていただきましたが、私には保険加入の障壁があります。
1つは緑内障予備軍であること。
2つは2年ほど前に急性肝炎になったこと。
3つめは、むずむず足症候群であること。
あまり意識してはいませんが、むずむず足症候群は精神的な病気と捉えられているため、最悪自殺する可能性もあるようでなかなか保険を受け入れてもらえないようです。
今回は、一応諸条件をクリアしたようで保険に加入できましたが、なんだかんだで結局、1時間以上は保険屋さんと話しをしていたと思います。
そして、次は嫁の目的の買い物へ向かいました。
そう、楽しみにしていた商品券3000円の出番です。
買い物をしている嫁に付き合っても退屈なので、子供と一緒にモール内の遊具施設で時間をつぶすことにしました。
最近できたであろうその施設は、床がフローリングになっており、高さ数十センチの木でできた可愛い壁で囲まれていました。
大人の目からみても特にこれと言った遊び道具もなく、施設の中に若干ゆるやかな坂道があったりする程度であった。
遊んでいるこどもは3~4人くらいでしたでしょうか。
そのうちの誰かが壁に登ってまたがりながらするすると進み始めると、チビ太もマネして壁に登りまたがってすりすりと進み始めた。
その顔はとても楽しそうでした。
しかし、そのチビ太の顔が、体が、突然私の視界から消えていったのです。
『えっ?落ちた?』
急いで囲われている壁を回り、チビ太の方に向かうと、少し泣きそうな顔でチビ太が立っていました。
※写真はイメージです。
そして、額からは大量の血が流れているではありませんか。
急いでチビ太を抱きかかえ、人通りを避けたところに寝かせると、持っていたティッシュを全て使ってチビ太の額を押さえました。
冷静にならなければと思いながらも、チビ太の首まで垂れている血に私の動揺を抑えることができません。
携帯を取り出し、嫁に電話をしました。
“どおしたの?”
と電話にでる嫁に
“チビ太が大けがをした!”
と告げる私。
買い物をしている店の前での出来事のため、嫁は直ぐにやってきました。
“とりあえず、帰るぞ!買い物どころじゃない!”
と告げ、チビ太を抱えてイオンを出る私達。
車に向かう途中に少しづつ冷静になりつつある自分がいたと思います。
一度家に帰り、明るいところで傷口を見てみるとチビ太の額の右側は信じられないくらい膨らんでいたため考え得る余地はなく、私と嫁は急いで救急病院へ向かいました。
都市高速を飛ばして着いた先は、福岡市早良区百道浜にある急患診療センターです。
その時の時間は、20時くらいだったでしょうか。
中に入ると流石に急患センターだけあって具合の悪そうな人ばかりで、特に子供の数が多かったのを覚えています。
受付をしている嫁が私とチビ太のところに寄ってきて、人のいない端の方に移動するように指示してきました。
“うちはケガで来ているのに、風邪までうつされたらたまったもんじゃない。”
とぼやく嫁。
結局、急患診療センターではケガは見れないと言われ、別の病院を紹介してもらいました。
親の心配が過剰だったのか、紹介された病院ではケガをした額に薬を塗られ、テープを貼られただけで治療は終わりました。
先生からは『一応、頭を打っているので何か気になることがあれば早めに検査を受けてください。』と言われただけでした。
病院に行くと不思議な安心感が訪れるものです
その為かチビ太が “お腹空いた” と言い出しました。
その声を聞いて、嫁の機嫌が再び悪くなっていきます。
“あんたたまにはご飯食べないで、ご飯を食べれるありがたみを知りなさい!”
と5歳の息子へお説教が始ましたが、結局あまりに可哀想なため『うどん屋』に入る事となりました。
選んだお店は、WEST(ウェスト)と言い、1966年に福岡で創業されたうどん屋で福岡を中心に九州(一部千葉)に150店舗以上構えている有名店です。
ちなみに『うどん』と言えば香川県のイメージが強いと思いますが、うどん発祥の地は福岡と言われているのを皆さんはご存じでしょうか。
家までの帰り道で私が選んだ店舗には駐車場が5台分しかなく、全て車が駐車されていたことから嫁と子供を先に店内に行かせ、私は空いているスペースでどれか駐車場が開くのを待つことにしました。
上図のような位置に停車するし、5分くらい過ぎてからでしょうか。
運転席から見て左後ろの真ん中の車が出て行くのが見えたので、ルームミラーで後方を確認し、左に体をねじり目視で再度後方確認を行いました。
夜ということもあり、視野も悪かったため、ゆっくりとバックを行った次の瞬間、何かにぶつかる音と共に後部ガラスが粉々に粉砕されました。
全く何が行ったのか理解できす、あわてて外に出てみると、そこには街灯が立っているではありませんか。
完全に死角に入っていました。
入ってきた時は当然にその存在に気がついていたはずなのに、わずかな待ち時間が街灯の存在を忘れさせていたのです。
とりあえず通行人など周りの目もあるため、空いた駐車場に車を止めて店内の嫁も元へ向かうと。
”遅かったね。”
と普通に話しかける嫁。
どうやら店内には私が車をぶつけた音は届いていないようです。
”すまん、車ぶつけた”
と言うと、一瞬で嫁の表情がスケバンのように変わっていきました。
子供のケガに続いて自動車事故と親子揃って自爆しており、自分自身の状況が現実なのか夢なのかさえ分からない。いや、現実を直視できない状態となりました。
何度も、夢なら覚めろ!と心の中で呟きました・・・・
そう思いながらも事実を受け入れ、最初に電話をしたのは保険屋です。
保険屋からは最初にケガがなかったか?警察に連絡を入れたか?と問われ思いました。
本来ならば、先に警察に連絡をいれるべきなのでしょう。
警察に連絡を入れてから私のところに到着したのはとても早かったと思います。
おそらく電話をかけてから10分後くらいで到着したのではないでしょうか。
現場検証も10分位で全て終わってしまい、警察の処理速さに驚かされました。
その後も保険屋さんと連絡を取り合い、今後の手続きについて打ち合わせを行いました。
私は過去に保険を使ったことが無いため、最高級の等級を所持していましたが、今回の事故で3等級下がることを説明されました。
そして、事故発生から1時間くらいして保険屋が手配したレッカー車が到着しました。
寒空の中で、長時間嫁と子供を待たせてしまったことを可哀想に思いました。
家に帰り、嫁のストレスは最高潮に達しています。
“そもそも、なんで魚釣れないのに釣りにいったの?”
『えっ!そこから?』と心の中で私は思いました。
“なぜ、子供を遊ばせてる場所はフローリングで滑るのに、靴下を履かせたまま遊ばせたの?”
“明日、コストコに買い物に行くの楽しみにしていたのに車が無いから行けないじゃない!”
“イオンで3,000円の商品券が結局ムダになったじゃない!”
終いには。
”あー保険なんか入るんじゃなかった!そもそもあんたと定年まで一緒にいるか判らんし!”
と、捨て台詞まで吐かれる始末。
あれから一週間が経ちやっと気持ちも落ち着き、我が家にも平穏がやってきました。
月曜日からは、気持ちも含めて普通の生活に戻れそうです。
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