婚約解除と心の現状回復義務?
その昔、パソコンで大人の動画を見ていたら、突然『注文を承りました』と画面に文字が流れ、その直後、画面全体にとても言葉では表現できない卑猥な画像が映し出されて、カウントダウンが始まりました。
期限は3日。
『3日以内に表示された金額(10万円)をご入金いただけない場合は、こちらの画像(卑猥な)を削除できません』と表示されてしまいました。
なんという失態でしょうか。
色々とネットで調べて、かなり奥にあるファイルまでたどり着き、そして削除を行ったことで難を逃れましたが、こんな風に勝手に契約されたら、たまったものではありません。
↑こんなイメージ+卑猥な画像
今回は、前書きから上手い感じで流れることができましたので、このまま契約の解除について学習を始めたいと思います。
改めて契約とは、当事者双方の意思表示によって結ばれるものですが、いったん有効に成立した契約を、当事者の一方が意思表示によって解消させることもできます。
それが、契約の解除です。
当事者が解除できる場合を定めておけば、その定めに基づいて解除できますが、そのような定めがなくても、債務不履行があるときは契約を解除できます。
ただし、債務不履行においても、履行遅滞と履行不能では、解除の要件が異なりますので、しっかり覚えたいと思います。
履行遅滞による解除
例えば、有吉ゼミの「坂上忍、家を買う」というコーナーがあると思いますが、仮にゲストが家を買ったとして、オーナーが家の引渡しまでしたにもかかわらず、ゲストが約束の期日に代金の支払を行わなかったとしたら、オーナーはゲストの履行遅滞を理由に契約を解除できるでしょうか。
原則として、履行遅滞は、履行不能となったわけではありません。
ゲストが忙しくて支払期日を忘れていた。または、視聴率を取る為に勢いで「買いまーす!」と言ってしまったため、お金がまだ準備できていない。などの理由があると思います。
オーナーが催促すれば以外と直ぐに支払ってくれるかもしれません。
ましてや、高額商品のため、せっかく結んだ契約を解除したくないというのがオーナーの本音でしょう。
しかし、オーナーは、視聴率取るためのやらせだったんじゃないの?と半信半疑にもなっていると思います。
そこで、履行遅滞が発生し契約の解除を行う場合は、相当の期間を定めて履行の催告をし、その相当期間内に履行が行われなかった場合でないと解除はできないとしています。
履行不能による解除
では、先ほどの流れで「買いまーす!」とゲストが家を購入し、売買契約締結後に、その家が火事で全焼してしまったらどうなるのでしょうか?
まず、家が無いのでゲストの催告をする必要がなくなります。
そもそも、催告できる物が無いので、催告する意味ないですよね。
そして、直ちに契約を解除できます。
履行不能のときの方が、スピード感がありますね。
そして、解除は、解除権者の一方的な意思表示によって行われます。
解除される相手方の承諾は不要なのです。
当然、一旦契約を解除したら、その解除を後から撤回することはできません。
やっぱり解除しない。
やっぱり解除。
やっぱ解除しない。
やっぱ解除。
とか言うやり取りを許したら切りがないですからね。
そして、解除の効果としては、「そもそも契約は最初から無かった」ことになります。
解除前に相手から受け取った物があれば返さなければいけませんし、形を変えてしまったもの(車と買う前提で、代金支払前に改造してしまったなど)は、元に戻さないといけません。
これらを法律用語で、現状回復義務といいます。
また、金銭を返還する場合は、その金銭を受領した時から利息をつける必要があります。
なお、契約を解除しても、既に発生している損害がある場合、契約の解除とは別に損害賠償請求を行うこともできます。
僕の後輩にも婚約という契約を解除した者がいます。
婚約解除前に彼が渡した指輪は戻ってきたのでしょうか。
彼は彼女から損害賠償を受けていないでしょうか。
物やお金が戻ってきたとしても、二人の気持ちは原状回復できないでしょう・・・。
では次回、またがんばりましょう。
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