取得時効について学習してみました!
明日が宅建試験の合格発表日ですが、発表前に不合格を確信していると、正直なところ全くもってドキドキ感がありません。
後は、Twitterで励ましあった学友の合格を祈るばかりであります。
そして、私自身は2019年度の宅建試験合格に向けて、ただ勉強するのみであります。
最近、ブログには好きなことを気ままに書いていたため、いざ、学習内容のアウトプットとなると、1つ記事を書くのにものすごい時間を費やします。
学習ブログでもありますので、この費やした分だけ、来年まで頭に残っているようにと、願っております。
さて、今回は「時効」について学習したいと思います。
30年度(今年)の宅建試験にも時効に関する問題が出題されていましたが、見事に不正解でした。
時効に関する学習は、自分なりに時間をかけて行ったつもりでしたが、今年の試験問題は時効の問題と言いながらも、直球勝負ではなく、変化球が飛んできたため、見事に振り遅れました。
それでは復習も兼ねて、今日は「取得時効」について学習内容をアウトプットしていきます。
= 目次=
時効とは?
そもそも時効とは何を示すのでしょうか?
刑事ドラマなどでは「もう直ぐ犯人が時効になってしまう!」なんてセリフを聞きますが、「時(とき)」の「効(ききめ)」と書いて「時効(じこう)」とあるように「ある一定の期間(時間)、その物事が継続して行われた場合に、その物事が行われた期間を事実状態として捕らえることです。」
例えば、刑事ドラマの時効は「公訴時効」と言い、犯罪行為が終わってから一定期間犯人が捕まらずに逃げていると、捕まっていなかったこと(刑が科せられていないこと)が事実状態として、公訴権(公訴を提起し裁判を求める権利)が消滅して、もう犯人を捕まえても、刑に処することができなくなります。
「公訴時効」は刑法上の扱いとなりますが、宅建で頻繁に出題されるのは民法上の「取得時効」と「消滅時効」の2種類となります。
では改めて、本日は「取得時効」について学習をしたいと思います。
取得時効
「他人の物を占有して、一定期間が経過すると、その物(その物の所有権)は自分のものになること!」とされています。
そこで、私は「ふっ」と思いました。
もしかして?「今賃貸で借りている家も、一定期間が過ぎたら自分の家と主張できるのではないだろうか?」
もちろん、そんなことは出来ません。
できたら、家貸す人がいなくなりますからね。
民法162条(所有権の取得時効)
ちなみに、民法162条で以下の通り現されています。
- 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
- 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
条文にも記載されている通り、「所有の意思をもって」と「平穏に、かつ、公然」と「占有」がキーワードとなると思います。
もちろん、初めから借りる意思を持って借りた家は、当たり前のように取得時効できません。
また、10年と20年の2つの期間が存在しますが、これは、取得時に善意であるか悪意であるか、または「過失がある」か「過失がない」かによって異なります。
取得時効過去問
では、宅建試験では「取得時効」について、どのような問題が過去に出されていたのか分析してみたいと思います。
土地(不動産)賃借権は時効取得ができるのか?
物権(所有権)以外の権利について「時効」が完成した場合、「時効取得できるのか?」といった問題です。
賃借権は取得することができため正解となりますが、全ての権利が時効取得できるわけではありません。以下に時効取得できる権利と出来ない権利をまとめました。
【時効対象】
一定の目的の為に、他人の土地を使用、収益できる権利
※地上権、永小作権、地役権
- 質権
目的物の占有を伴う担保物権として時効取得の余地あり
- 不動産賃借権
その土地を使い、賃料支払の事実がある場合が対象
【時効対象外】
- 抵当権
目的物の占有を伴わない担保物権のため
他人の物を占有している債権者が、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置
することができる権利
債権者が他の債権者に先立って、債権の弁済を受けることができる権利
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他人の土地の一部を自己の土地と思って使用していた場合、時効取得はできるのか?
この問題は典型的な時効取得の例だと思います。正解は時効取得できます。
時効が完成した場合、時効開始の起算点(スタート時点)はいつなのか?
結構頻繁に出題される問題だと思います。正解は事実が開始された日であり、先ほどの「公訴時効」を例にとると、「犯罪が行われた日」となります。時効が完成した日ではないので間違えないようにしましょう。
途中で占有者が変わった場合は(善意)?
善意・無過失の所有者Aが8年間土地を占有し、その後、その土地をBへ譲渡を行い、Bが2年占有した場合、実は土地の真の所有者がCであったらどうなのか。
正解はBが10年の取得時効を主張できます。善意・無過失の占有者が基準となるため、先ほどの民法162条2項が適用されます。Bの善意・悪意は関係ありません。
途中で占有者が変わった場合は(悪意)?
悪意・有過失の所有者Aが8年間土地を占有し、その後、その土地をBへ譲渡を行い、Bが2年占有した場合、実は土地の真の所有者がCであったらどうなのか。
まずは、民法187条をご覧ください。
- 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
- 前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。
上記より、Bの選択肢が2つ存在することになります。
- 1つ目は、Aの占有を継承し20年で時効のパターン
Aの占有期間8年と自らの占有期間2年から、残り10年で時効取得
- 2つ目は、Bが善意・無過失を主張し占有期間10年で時効取得
Bは善意・無過失で2年占有している為、後8年で時効取得となります。
では、次回は「消滅時効」を学習しますので、よろしくお願いします。