消滅時効について学習しました! 宅建試験平成30年度の問題を振り返る。
宅建試験に2年連続で落ち、現在2019年度の試験合格に向けて勉強を始めております。
前回、「取得時効」の学習を行ってから、数日空いてしまいましたが、本日は「時効」の続きについて学習したいと思います。
本日のテーマは「消滅時効」です。
宅建の試験勉強で、私自身「時効」についてはそれなりに勉強したつもりでいましたが、見事に「時効」の問題を落としてしまいました。
という訳で、今回は私が間違えた問題をベースに「消滅時効」について振り返りたいと思います。
=目次=
消滅時効とは?
権利を行使できるにもかかわらず、ある一定期間、その権利を行使しないことで、その権利を消滅(失ってしまう)さてしまう制度。
解りやすく言うならば、「あなたが友達にお金を貸してあげたけれども、一定期間返金の申し出を行わなかった場合、その友達から、あなたは貸したお金を返してもらう権利が消滅してしまいます。」
同時に友情も消滅してしまいそうですね・・・。
ちなみに、債権については原則として10年で消滅時効となります。
また、その他の権利(所有権を除く)については、20年で消滅時効となります。
ちなみに、平成30年度に出題された宅建試験の時効に関する問題は、以下の通りとなります。
平成30年度 宅建試験 (時効の援用)
時効の援用に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 消滅時効完成後に主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても、保証人は時効を援用することができる。
- 後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
- 詐害行為の受益者は、債権者から詐害行為取消権を行使されている場合、当該債権者の有する被保全債権について、消滅時効を援用することができる。
- 債務者が時効の完成の事実を知らずに債務の承認をした場合、その後、債務者はその完成した消滅時効を援用することはできない。
『解説』
まず、始めに!この問題に間違えた私が解説することをお許しください。
問1について
正解は○です。保証人は「時効を援用」することができます。
少し解説が長くなりますが、「時効の援用」がどのようなものかと言いますと、「時効」が完成したとしても、自動的に時効の効力が発生するわけではありません。時効が発生したことにより得られる利益を援用(用いること)することを意思表示しなければ、時効による効力は発生しないのです。
では、保証人は「時効を援用」することにより、利益を得られる者なのか?と言うのがこの問題の焦点になるのですが、時効の援用権を行使できる者は、「権利の消滅により、直接利益を受けられる者」と定められてます。
よって、保証人は「主たる債務が消滅すれば、自らの保証債務も消滅する」ことから直接利益を受ける者となります。
ただ、私は深読みしてしまったのかもしれません。
保証債務には付従性があると聞いておりましたので、「債権者が時効の利益を放棄した場合!」、保証人は、放棄に付従すると思い込んでしまいました・・・。
保証債務の付従性
主たる債務がなければ保証債務は成立せず、主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する性質。
しかし、時効を援用するかどうかは、関係者それぞれ相対的に判断する為、主債権者が時効の利益を放棄しても保証人まで「時効の援用権」を失うことはありませんので、保証人は主たる債権者が時効の援用を放棄しても、保証人自らの時効援用権を失うわけではないので、保証人は時効を援用することができます。
問2について
正解は×です。時効の援用はできません。よってこの問題の正解となります。
そもそも抵当権において、先の抵当権者がいなくなれば、後の抵当権者が繰り上がってきますので、時効の援用とは関係なく利益を得られるだけの話しだそうです。
例
1番抵当権者 ← 消滅
2番抵当権者 → 1番抵当権者 ← 消滅
3番抵当権者 → 2番抵当権者 → 1番抵当権者
4番抵当権者 → 3番抵当権者 → 2番抵当権者
問3について
正解は○です。時効の援用ができます。
まず、問題が判りにくいので登場人物を整理します。
1人目 詐害行為の受益者
※詐害行為とは、債務者が債権者を害することを目的に、債務者自身の財産を減らしてしまう法律行為。借金を払いたくないから、自分の財産を贈与してしまうなど。
2人目 債務者
※詐害行為が行われた時点で、債権者と債務者が当然に存在することになります。
3人目 債権者
この問題の主役は、「詐害行為の受益者」であり、「債権者が債務者に対して詐害行為取消権を行使」している。
そして、債権者が行使している詐害行為取消権は、消滅時効を迎えているといった内容です。
ここで、「詐害行為の受益者」に対して、「時効の援用」が認められなかった場合、「詐害行為の受益者」は、詐害行為によって得た利益を失うこととなり、債権者は利益を得ることができます。
逆に、「時効の援用」が認められた場合、「詐害行為の受益者」は利益を得ることができます。
問1にもありましたように、時効の援用権を行使できる者は「権利の消滅により、直接利益を受けられる者」と定めております。
よって、詐害行為取消権の時効消滅により、「詐害行為の受益者」は直接利益を受けることができるので、時効を援用することができます。
問4について
正解は○です。時効の援用をすることはできません。
時効完成を知ってか、知らずかに関係なく、一度承認した場合は、その後に時効を援用することはできません。
一度約束したことは守らないといけないということですね。
では、冒頭にご説明させていただきました通り、債権は10年で消滅時効が完成することになるのですが、果たして、いつを基準にして10年なのかを確認したいと思います。
消滅時効の起算点
幾つかの債権について起算日を確認したいと思います。
- 確定期限付き債権の場合 ⇒ 期限到来の時
例:5月30日に支払うという約束をした場合、5月31日以降。
- 停止条件付き債権の場合 ⇒ 条件成就の時
例:子供が学校を卒業したら支うという約束をした場合、卒業式の翌日以降
- 期限の定めのない債権 ⇒ 債権成立と同時
例:お金を借りた時から
- 債務不履行に基づく損害賠償請求権 ⇒ 本体の債務の履行を請求できる時から
例:5月30日に支払うという約束をした場合、5月31日以降。
正直なところ解りにくいと思いますので、下のイラストを作成しましたので参考にしてください。
また、時効を中断させる方法として、以下の3つの方法があります。
時効の中断をする為には
- 請求を行うこと(裁判上の請求、裁判外の請求)
- 差押え、仮差押え・仮処分
- 債務者の承認
もしも、あなたが債務者であれば参考にしていただければと思います(笑)